インターンシップの世界へようこそ!
ロンドンで新しい仕事の季節が始まりました。広報の仕事を始めた22歳の女性は、イギリスで一二を争う名門大学の出身です。しかし彼女は今、1日8時間、電話対応に明け暮れています。
彼女の問題は、給料がペニーでさえ支払われないこと。それどころか、交通費も昼食代も支給されません。お腹が空いても缶からビスケットを取り出してしのぎます。まるで自分がガミガミ怒られる子どもになった気分だと言います。
ところ変わって、また別のマークという22歳の男性は、一流大学で哲学の学位を取得しました。芸術分野では修士号も持っています。ウェストエンドのアートギャラリーに就職した彼は、この日その仕事の初日を迎えました。
彼は自分の学業に、すでにたくさんの資金をつぎ込んでいます。初仕事の収入は重大な関心事です。しかし、上司に給与のことを確認すると意外な答えが返ってきました。
「我々には君に支払う余裕がない。君の職歴に対してもだよ。非常に申し訳ないが、予算がないんだ。」
彼はそう言われました。言葉はオフィスの中にこだまして、黒い大理石の壁や、2000ポンド(日本円で27万円相当)もする革のソファーに吸収されていきました。
一方、ある程度経験を積んだ23歳のサムさんの意見はどうでしょう?彼女はダーラム大学で修士号を取得しています。
「拒否すると推薦状に嫌な影響が出るんじゃないかって心配になって。」
と、彼女は切り出します。
「だから、何をするにも、断らないようにしてきたわ。バカげたことも、ありふれた平凡なことも。その間、自分のことは自分で支払ってきた。例えば交通費とか。尊厳や自尊心は捨ててきたわ。だって私たちって、お客に支払ってばかりなのよ。売春婦だって給与を得ているのに。」
インターンシップとはいったい?
インターンの世界へようこそ、ここは給与の支払が行われない世界。その代わり、ビジネスの世界で訓練を受けることができ、まるでまた学生に戻ったかのような扱いを受けるところです。目の前に用意された正規雇用の座に向かって走るその様は、さながら目の前にニンジンをぶら下げられて走る馬のようです。
ただ働きを望んでいないにしても、卒業生にとって就職は命がけです。むしろ就職への近道のために、何千ポンドというお金をつぎ込んでいる学生もいます。その学生は、この時代、25歳以下の無職が100万人以上も存在することを良く理解しているのです。
良い就職には、履歴書の充実が欠かせません。問題は、その近道が、裕福な人にのみ許されているということです。ほとんどの人にとって、これでもかと言わんばかりの借金を抱えながら3ヶ月間企業に無料奉仕することは、選択肢のひとつでしかありません。
23歳、大学を卒業したばかりのアレックス・トライさんは、
「何でもいいからとりあえず目の前の利益に飛びつくの?」
と、疑問を投げかけます。
彼女は、インターンシップが社会的に悪用されているのではないかと警鐘を鳴らす活動を行っています。
「インターンシップに具体的な法規制はないし、きちんとした職業訓練のシステムもない。企業は単純に私たちを騙して利用したいだけなのよ。」

The slave labour graduates: Cynical firms are forcing thousands of high flyers to work for nothing - or even making them pay for the privilege
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1255323/The-slave-labour-graduates-Cynical-firms-forcing-thousands-high-flyers-work--making-pay-privilege.html