イギリスの新卒生たちの実情
「昨年卒業してから、ずっと仕事を探してる。就職活動を始めたときは、給与のある仕事を探してた。でも、すぐに気付いたんだ。そんなものないって。だから、無給のインターンシップだったら、もうちょっと良い仕事をできないかなって考え直したんだよ。」
他の4万人の新卒生と同じように、昨年の夏に大学で学位を取得してから、グレイグさんは今でも常勤の仕事を探しています。
ひとまず、彼はマーケティング会社で働くことにしました。給与はありません。
「この仕事は職歴を充実させるためにやってる。良い仕事にありつくためだよ。」
政府はクレイグさんと同じ道を新卒生に進むことを推奨し、それをサポートする政策まで発表しています。インターンシップが新卒生にとって、適切な就業経験を得る機会になるというのです。
18ヶ月前、イギリス教育雇用省は、「Graduate Talent Pool」というイギリスのインターンシップを紹介するウェブサイトを立ち上げました。
現在インターンシップの数は9000以下にとどまっています。加えて、そのうちおよそ3分の1が、半年以上にも及ぶ長さでありながら、わずかな経費の支払いにしか応じないというのです。
裕福な家庭の出身ではない新卒生には深刻な問題です。大学生のほとんどは、何千ポンドもの学費のローンも抱えています。そのような学生には、インターンシップを行うことすら不可能に近いのです。
クレイグさんは、無給のインターンシップを始めてそろそろ1ヶ月。このインターンシップは半年続きます。しかし、すでに問題は山積みです。
「すごく難しいんだ。つまり、僕は金曜の晩から土曜日にかけて、アルバイトもしてる。そうしないと生活できないからね。収入に特別困っているわけじゃないけど、アルバイトが終わったらインターンシップに直行って感じなんだ。」
搾取される新卒生たち
問題は無給のインターンを雇う企業にもあります。クレイグさんのような無給のインターンたちは、法で保障されている最低限の収入すら満足に得られていません。
クレイグさんは、一般的な勤務時間、つまり月曜から金曜日の間で、常勤の社員のように働くことを希望していました。また、インターンの仕事にも明確な職務があると考えていたようです。
法律上の仕事の定義には、決められた就業時間があることも含まれています。残業に関する契約もありますし、職務には取り組むべき課題が含まれています。ただ、観察しているだけではありません。
働く者は国によって定められた最低限の賃金を得られると、法律上でも決められています。22歳以上であれば、時給にして5.8ポンド(日本円でおよそ794円)が保障されています。
半年以上続く新卒生の無給労働は、インターンシップを悪用した利己的な搾取に当たるとして十分訴えられるレベルです。イギリスの労働組合会議は、イギリス教育雇用省によって運営されている「Graduate Talent Pool」に無給のインターンシップが多く掲載されている時点ですでに問題だと話します。

Unpaid internships 'breaking minimum wage law'
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8551598.stm