イギリスのインターンシップの実情
イギリス労働組合会議のマット・ダイクスさんは、新卒生の搾取を止めるべきだと話します。
「無給の就業経験や職業訓練が容認される一方で、この事態が続けば、若い求職者に間違った常識を植え付けてしまいます。それに雇用側にもです。」
「雇用者に、このようなインターンシップの利用が不当であることを認識してもらわねばなりません。」
高等教育を担当する大臣、デイヴィッド・ラミイ氏は
「そのような事態が起こっているのであれば、まず状況をよく理解したい。そのような不当な行為を行っている企業があれば、Graduate Talent Poolから除外されるべきだ。また、若い世代が自分たちの権利について知ることは重要なことだと考えている。」
と、述べました。
現在勤めている企業が、大学から支給される補助金の申請を助けてくれているとクレイグさんは話します。しかし、同時に、インターンシップが終了すれば、彼に就職のチャンスはなく、そのままこの企業を去ることになるだろうとも言われたそうです。
新卒生がこれほどまで我慢して無給の仕事を続けるのは、インターンシップの末にある、きちんとした就職のチャンスを狙っているからです。インターンシップにはすでに大きな歪みが生まれています。
『独り相撲』
エリオットさんは両親と一緒にケント州ダートフォードに住んでいます。昨年の夏、心理学の学位を取得しています。それから2つのインターンシップを行いました。最初のものは1ヶ月だけ、次は3ヶ月。どちらも必要経費だけ支払われる無給のものでした。
結局彼は1番目のインターンシップを途中で辞めています。2番目のインターンシップを行ったのは、3ヶ月のインターンシップの後、就職できるという契約があったからです。
「3人のインターンがいたよ。みんなインターンシップの後に就職できると手応えを掴んでいた。だけど、だんだん3人全員にポストがあるわけじゃないってわかったんだ。」
それから彼は、企業の嘘に付き合って自分1人が躍起になっていたことに気付き、結局2ヶ月目でインターンシップを降りました。
彼はインターンシップを振り返って、企業は最低限賃金ぐらいは支払うべきだったと話します。
「企業の大事な仕事を誰かに頼むとして、それが賃金の支払いに値しない労働にならないわけがないだろう。しかも、きっちり時間を割いて職場にいてもらうのに。」
もし、エリオットさんとクレイグさんがウェールズにいれば、事態はもっと良くなっていたかもしれません。ウェールズのインターンシップが紹介されているウェブサイトでは、Graduate Talent Poolと違い、10週に渡って、週給にして240ポンド(日本円でおよそ3万円)の支払いが義務づけられています。
これは、職歴などにも関係無く、誰でも同じなのだそうです。イギリスではインターンは求職者手当を受けることができますが、インターンシップ開始前の半年間の所得次第です。スコットランドと北アイルランドに至っては、まだ公式なインターンシップというものが存在しません。
ラミイ大臣は、今後も新卒生を対象にしたインターンシップの促進を行っていくと、意欲を見せています。インターンシップが若い世代のキャリア構築のスタートに最適だと言うのです。
「一番優先されるべきは、雇用市場における若い世代を支援すること。Graduate Talent Poolはその役割を果たしている。インターンシップなしで彼らの履歴書に就職に十分な職歴が並ぶと思うか?あるいは彼らに家に籠もってろとでもいいたいのか?」

Unpaid internships 'breaking minimum wage law'
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8551598.stm